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ヘッドライン ... このニュース記事は、EPA(経済連携協定)及び、外国人看護師・介護福祉士に関する全国ニュースをダイジェストでまとめたものです。

[支えたい]外国人介護福祉士候補者/「共働」で仕事見つめ直す (2009/05/24 東京読売新聞 朝刊 17ページ)

◇介護の現場から
インドネシアとフィリピンから、経済連携協定(EPA)に基づき、介護福祉士候補者が来日した。政府は、「人手不足の解消が目的ではなく、経済交流の一環」との立場だが、介護現場に与える影響は大きい。候補者と共に働く日本人職員にとっては、介護の仕事を見つめ直すきっかけになっているようだ。

◇イスラム教の習慣
介護福祉士の飯塚清美さん(32)が働く特別養護老人ホーム「緑の郷」(横浜市青葉区)には昨年9月、介護福祉士候補者のウェルヤナ・オクタフィアさんとティアス・パルピさん(ともに27)がやってきた。2人ともインドネシアでは看護師として働いており、過去に通算2年半ほど日本に留学し、日本語や介護の研修を受けた経験がある。会話の能力は十分だったため、今回は日本語研修を免除され、ほかの候補者に先駆けて勤務を始めた。

受け入れが決まった当初は、「インドネシアの人にはそれまで会ったことがなく、実感がわかなかった」と飯塚さんは言う。だが、指導役を任され、インドネシア人の多くがイスラム教徒で、1日5回祈る習慣があることなどを知ると、不安になった。

「もし、お年寄りを放り出してお祈りに行ってしまったら、どう指導したらいいんだろう」

だが、心配は無用だった。お祈りは勤務時間外に行い、遅刻などもない。のみ込みも早く、すぐに戦力となった。

人なつこい笑顔と優しい口調でなだめられ、普段は怒ってばかりの入所者が不満を言わなくなったのにも感心した。「お年寄りを敬う意識が強く、常に相手の立場になって考えようとするんです。忙しさでつい、余裕をなくしがちな我が身を振り返りました」

インドネシアでは、高齢者の世話は家族が行うもので、介護の仕事は職業とは見なされていないと聞いた。驚く一方で、2人の働きぶりと照らし合わせて、「家族の介護も利用者の介護も、人を思いやるという基本は同じ」と実感した。

日本人を指導するときには何気なく使っていた言葉の意味を改めて考えるようにもなった。「『臨機応変』の意味を聞かれた時は、辞書をひきました」。医療の知識があるティアスさんに「HCV」が、C型肝炎ウイルスを示すことを教えてもらったこともある。

「彼女たちから学ぶべきことは多いけれど、私には、12年間にわたって築き上げてきたお年寄りとの関係がある。この点では負けない」と、飯塚さんは意欲を燃やしている。

◇国際化への「投資」
「緑の郷」は、雇用・能力開発機構の委託を受け、介護職員育成の研修を行っているため、近年の人材不足とは無縁だ。インドネシアから候補者を受け入れた狙いについて、「国際貢献として、介護福祉士を目指す外国人を支援しながら、日本人職員が国際感覚を養い、互いに学ぶため」と古川幸子施設長は説明する。

緑の郷」の場合、2人分の渡航費や手数料などで、約90万円を負担した。候補者には、日本人と同等以上の給与を支払わなくてはならないうえ、着任後の研修費用などもすべて施設側が持つ。負担が小さくないだけに、受け入れに二の足を踏む施設も多いなか、古川施設長は、「有能な人材が来てくれたおかげで職員の士気が高まり、職場が活気づいていることは、金銭には代え難い。必ず訪れる国際化の時代に向けた先行投資でもある」とそのメリットを強調する。

もちろん、不安な点もある。介護福祉士候補者は、4年間の滞在中に介護福祉士の試験に合格しなければ、日本にとどまることはできない。受験資格を得るには3年間の実務経験が必要なため、チャンスは1度きりだ。

そのため同施設では、ホームヘルパー1級の上級にあたる介護職員基礎研修を組み込んでいるほか、施設にボランティアで来ている元国語教師の男性に週1回、日本語を教えてもらっている。

◇「受け入れる」7割 施設長に調査
 塚田典子・日本大学教授(社会老年学)が昨年、全国の特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護型療養病床の施設長を対象に行った調査では、外国人介護福祉士候補者を「積極的に受け入れる」という回答は約1割にとどまったものの、「ほかに選択肢がなければ」という条件付きも含めると、約7割が受け入れてもよいと答えた。

受け入れの際の不安としては、「利用者や職員などとのコミュニケーション」が最多で9割を占めた。採用に伴い、必要な対応として、91.5%が「日本語教育プログラム」を挙げた。

塚田教授は、「介護の現場にいる施設長らは、日本人の働き手がいないのだから、外国人に働いてもらわざるを得ないと考えている。好むと好まざるとにかかわらず、国際化の流れは止まらないだろう。しかし、日本人にとって魅力のない職場は、外国人にもいずれ見放されてしまう。職員の処遇改善の努力が必要だ」と話している。

〈経済連携協定〉貿易自由化や、労働力受け入れなど、経済関係を強化する取り決め。昨夏、初めてインドネシアから、介護福祉士候補者104人が来日。日本語研修を経て、今年1月から各地の施設で働き始めた。今月10日には、フィリピンから介護福祉士候補者180人が来日した。

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シンポジウム/医療・福祉現場の外国人/日本語の悩み訴え/受け入れ考える/福岡 (2009/05/24 毎日新聞 地方版 21ページ)

外国人スタッフの医療や介護への受け入れを巡り、「インドネシア人ケアワーカーを日本に迎えて 問題点とその克服策を考える」と題したシンポジウムが24日、中央区天神で開かれ、約150人が参加した。九大アジア総合政策センターが主催。

日本とインドネシアの経済連携協定に基づき昨年8月、インドネシア人看護師・介護士候補生約200人が来日。働きながら日本語や日本の国家試験の勉強をしているが、受験には回数制限があり、不合格なら日本を去らねばならない。日本語の方言や文化の壁に悩む人も多いという。

田主丸中央病院(久留米市)で働く看護師候補生のレフィアナ・エファさん(25)は「仕事内容はあまり変わらないが、漢字が難しい。試験を英語かインドネシア語で受験できるようにしてほしい」と、日本語で訴えた。

また、病院や施設側も日本語学習に手探りで対応している実態が報告され、大野俊・同センター長は「政府の受け入れ対策が不十分だと、不幸な関係になってしまう」と警鐘を鳴らした。

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来日研修生/漢字に苦戦/インドネシア人看護師・介護士/国家試験合格者ゼロ(2009/05/29 朝日新聞 朝刊 25ページ)

日本とインドネシアが結んだ経済連携協定(EPA)に基づき、同国から看護師・介護福祉士の研修生が来日して10カ月。職場には溶け込みつつあるが、日本語の壁は依然として高い。2月の看護師国家試験は82人が受験したが、合格者はゼロだった。試験問題の漢字に苦戦したとみられる。「このままでは、技術や経験があっても研修期間中に合格者は出ないのではないか」と心配する声も多い。

この制度の問題や対策を考える九州大主催の公開講座が23日、福岡・天神であった。福岡、佐賀両県の病院や特別養護老人ホームで働く5人のインドネシア人研修生が、市民や政府関係者ら約130人を前に現状を説明した。

●「猛勉強でも無理」
「国家試験、来年は難しいです」。2月の試験を受けた看護師研修生の女性(30)は、ぎこちない日本語で打ち明けた。勤務先の病院では午前中は病棟勤務をこなし、午後1時半〜同5時に漢字や国家試験の特訓を受ける。「看護用語が難しいです」。猛勉強中だが、来年の合格も無理そうだという。「再来年の国家試験はインドネシア語か英語で実施してほしい」

介護士研修生の男性(23)は、仕事を任されるようになって自信がつき始めたと話した。それでも日本語はまだまだ。「お年寄りとのコミュニケーションは特に難しい」。母国語はアルファベットを使う。研修生たちは異口同音に日本語、特に漢字の取っつきにくさを訴えた。

●中東で5000人以上活躍
世界4位の2億3千万人の人口を抱えるインドネシアは、海外出稼ぎ労働者の多さで知られる。日本以外では、その国の言葉ができなくても活躍している看護師も多い。

講座で報告した国立インドネシア大のセチョワティ教授(看護学)によると、サウジアラビアには5千人以上の看護師を送り出した。受け入れ前に英会話の試験を課されるが、アラビア語の試験はない。インドネシア看護協会の見方として「研修生は日本でも十分働けるはずだが、漢字が分からず国家試験に受からないのではないかと懸念している」と語った。

◇研修の延長・充実必要
◇「翻訳すれば正答」
日本語研修を担当した財団法人・海外技術者研修協会(東京)によると、通訳者が看護師国家試験の問題をインドネシア語に翻訳して解かせたら「かなりできた」。独自に模擬問題を翻訳して解かせた病院でも「日本特有の医療制度に関する問題は解けないが、看護学共通の問題はかなり正答する」との結論を得たという。同協会は近く、インドネシア語に翻訳した模擬問題を作り、研修生の希望者に解いてもらって看護学の実力を測る方針だ。

一方で「日本人と同じ条件で国家試験に合格しないと、職場や患者から半人前扱いされてしまう」と指摘する専門家は多い。「研修生に有利なインドネシア語で受験させると、日本人受験者の合格機会を奪いかねない」と懸念する声もある。日本看護協会(東京)も日本語能力と国家試験合格を受け入れの前提条件に掲げており、外国語での試験の実現には課題が多い。

●国に試験対策期待
国家試験の受験機会を増やすため「滞在許可年数(研修期間)を延ばしてほしい」という意見も現場には根強い。ある介護施設の経営者は「日本語や漢字を覚える期間さえあれば合格できる」と話す。

ただ、研修期間の見直しにはEPA条文の改定が必要。受け入れ施設や病院は当面、現行通り日本語での国家試験対策を進めるしかない。大野俊・九州大アジア総合政策センター長は「送り出した国と受け入れた施設が不幸な関係になりかねない。日本政府による国家試験対策のプログラムが必要だ」と指摘する。

現場の声を受け、研修生の支援を担う国際厚生事業団(東京)は対策の検討に入った。外務省でEPAを担当する古谷徳郎・サービス貿易室長も「国家試験対策や継続的な日本語学習支援は閣議決定事項でもある。厚生労働省と相談しながら、よい形になるよう進めたい」と話す。

◇キーワード <インドネシアからのEPA研修生>
看護師と介護福祉士の研修生104人ずつが昨年8月に来日。半年の日本語研修後、今年1〜2月に全国の施設や病院に着任した。全員が母国の看護師資格を持つ。研修期間は看護師が3年、介護福祉士が4年。前者は年1回、後者は3年間の臨床経験後に1回、国家試験を受けられるが、不合格なら帰国する。同国からの第2陣が11月ごろ来日するほか、同様のEPAに基づき5月にフィリピンから来た273人も日本語を研修中。タイやベトナムとも受け入れ交渉中だ。

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<世界の街から>フィリピンからの「集団就職」(2009/05/30 秋田魁新報 朝刊1版 11ページ)

日本との経済連携協定(EPA)に基づき、フィリピン人の介護福祉士、看護師候補生約二百七十人が十日、日本へ渡った。訪日前に開かれたマニラでの壮行会。

「フィリピン人は、やればできることを日本でも証明しよう」。看護師の一人が出席者に語りかけると、大きな歓声が上がった。言葉や習慣の違いも待ち受けるだろう。頑張ってほしいと願いつつ、かつて日本の農村部から都市部に多くの若者が向かった「集団就職」という言葉が頭に浮かんだ。

都市部の労働力不足を補った地方の若者たちは、日本の高度成長期を支えた。時代は変わり、少子高齢化が進む日本社会を外国人が支えようとしている。

今回訪日したフィリピン人に話を聞いて、気になることもあった。看護師はもちろん、介護士にも看護師資格を持つ人が多かった。看護師を志した理由をたずねると、「外国で働き、高給がもらえる」と口々に答える。看護師資格は外国行きの「切符」。フィリピンは、欧米や中東にも多くの看護師を送り出す。

フィリピンは日本以上に看護師不足が深刻だが、マニラの有名病院はともかく、多くの人が頼りにする地方の小さな病院は「給料は安く、たいした経験も積めない」と敬遠されていた。「送金して家族を助けたい」と話す看護師たちを責められない。ただ、その能力や経験を母国の人のために生かす日も来てほしいと願った。

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外国人の介護福祉士候補/施設側7割採用前向き/日大調査。(2009/06/06 日本経済新聞 朝刊 38ページ

日大大学院の塚田典子教授が全国の特別養護老人ホームなど介護施設の施設長を対象に実施した調査で、外国人介護福祉士候補者を「採用する」と答えた割合が約7割に上っていることが5日、分かった。

施設長の大半がコミュニケーション能力などの不安を感じながらも、外国人に頼らざるを得ない深刻な人手不足の事態がうかがえる。

「外国人の候補者を積極的に採用する」とした回答は12%、「他に選択肢がなければ採用する」は56%で、両方合わせて7割近くが採用に前向き。これに対し、「不採用」は6%、「積極的には採用しない」は27%と、3割が否定的だった。

受け入れの際の心配として、最も多いのが「利用者や職員などとのコミュニケーション」。「文化・価値観の違いによるトラブル」「指示書の読み・書き」も多かった。

雇用の際、必要な対応策としては9割以上の施設長が国や都道府県による「日本語教育プログラム」と回答。「介護技術プログラム」「宿舎」なども目立った。

塚田教授は「言葉の問題にどう対応していくかが最大の課題。また、日本人が魅力を感じない職場はいずれ外国人にも見放される。処遇改善の推進も不可欠」と分析している。

調査は昨年3〜4月、全国の特別養護老人ホームなど介護施設の施設長689人、介護職員609人から回答を得た。

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資格取得に言葉の壁/インドネシア人介護研修生/来県4カ月(2009/06/05 徳島新聞朝刊 24ページ)

日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づき来日したインドネシア人の介護福祉士研修生が、24都府県の51施設で働き始めて約4カ月。徳島県内では社会福祉法人・健祥会グループの特別養護老人ホーム2施設で計8人が、3年後の介護福祉士の国家試験合格を目指して業務に励んでいる。人手不足に悩む介護現場にとって、新たな労働力として期待される外国人介護福祉士。しかし、言葉の壁は高く、資格取得の道は平たんではない。

女性2人と男性3人の研修生を受け入れている吉野川市川島町の水明荘。「薬飲めますか」「はい、水どうぞ」。女性研修生のヤニ・オクタフィヤニさん(22)が、入所者のお年寄りに日本語で優しく声を掛ける。5人の日常会話や介護技術は次第に様になってきたが、言葉の聞き取りには不安が残る。

特に方言。入所者に「今日はぬくいな」と言われ、戸惑って聞き返す。ほかにも「どないしよん」「ほなけんど」など、研修生にとって耳慣れない言葉が多い。というのも、昨年8月に来日後、半年間にわたって受けた日本語研修は標準語が基本だったからだ。

◇チャンスは1度
現場では難しい介護の専門用語も多く、それを理解することも大きな課題。方言や専門用語は常時携帯しているメモに書き留め、毎日夕方の日本語研修で確認して覚える努力をしている。

3人の男性研修生が働く牟岐町の緑風荘も、同じ課題を抱える。研修生は日本語での国家試験に合格しなければ、帰国しなければならないという厳しい条件が課せられている。日本人の合格率も約50%と狭き門の上に、チャンスは一度だけ。高いハードルに募る不安を抑えつつ、アリフ・バスミンさん(23)は「頑張って勉強するしかない」と力を込める。

一方、生活習慣の違いや入所者との交流面では互いの理解が進み、これといった問題は起きていないという。

◇礼拝時間設ける
来県中の研修生は全員がイスラム教徒で、1日に5回の礼拝を日課としている。健祥会は受け入れ時の契約内容に、研修生が業務時間内に行う2回の礼拝のために休憩時間を設けることを盛り込んだ。水明荘のフィトリ・ワフュニングシィさん(23)は「赴任先を選ぶ際、忙しい中でもお祈りできるかどうかを一番に考えていた。施設側の理解はありがたい」。

東南アジアの人たちが持つ明るさで、入所者とうち解けるのも早かった。八木伊三男さん(98)は「よう仕事してくれる。感謝、感謝」と目を細める。

財団法人の介護労働安定センターによると、低賃金・重労働とされる介護職の2007年度の離職率は21・6%で、全産業平均の15・4%を大きく上回る。国は介護職の処遇改善を図っているが、試算では14年までに新たに40〜60万人の介護の人材が必要。介護現場の外国人労働者に対する視線は熱い。5月10日には、フィリピンからも介護福祉士と看護師の研修生283人が来日。県内では介護福祉士研修生11人が5施設で、看護師研修生1人が病院で就労する。

水明荘の西岡義弘次長(62)は「研修生たちの介護技術に問題はない。言葉の壁を乗り越えて試験に合格し、今後の先駆けになってほしい」と期待する。研修生たちの頑張りには、施設側の温かい支援と理解が不可欠といえそうだ。

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インドネシア看護師・介護士候補者/さまざまな困難に直面(2009/06/19 シルバー新報

◇支援組織「ガルーダ・サポーターズ」設立/EPAの改善も要望へ
昨年8月に来日したEPA(経済連携協定)による初のインドネシア人看護師・介護福祉士候補者が、現場に入って4カ月あまり。日本語の習得、待遇、仕事内容、国家試験合格のハードルの高さ――など、予想以上の困難に直面している現実が14日に設立された支援組織「ガルーダ・サポーターズ」(事務局03・5284・3706)の調査で明らかになった。候補者たちの日常生活・研修支援とともに、3〜4年間での国家試験の合格を必須とする滞在要件など「ムリな制度」の改善を働きかけていく考えだ。

「候補者の回答のうち、『うれしかったこと』が『特になし』が2割超。せっかく夢を抱いて来ていただいたのに、うれしかったことが1つもないなんて…」

14日のガルーダ・サポーターズの設立記念会で事務局長の宮崎和加子健和会・看護介護政策研究所所長は4月上旬に実施した候補者へのアンケート結果を報告した。 答えたのは、看護師候補21人、介護福祉士候補14人。日本での業務や受け入れ制度自体への不満が噴出していた。

2月分の手取り給与は「10万円以上」が6人の一方、「5万円以下」も5人。勤務日数や業務内容、寮費などの徴収の有無に差があり、比較は難しいが、候補者たちが一様に衝撃を受けたのは社会保険料や税の天引きという。事前の説明を十分に受けていなかったためで、不自由な日本語では納得のいく説明も受けられずに不信を募らせる結果になった。インドネシア語の通訳支援がある人は3人いたが、多くても週1回。コミュニケーションで困っている人が多い。

介護福祉士も看護師もずっと滞在し続けるためには、日本語での国家試験の合格が必須。受け入れ施設側の日本語習得・国家試験対策の現状は、1週間の日本語学習時間は、1時間から20時間までの差があった。講師は、施設職員、外部ボランティア、日本語教師まで。教育内容についても、漢字ドリルや日本語試験問題集から国家試験問題までレベルはピンきりと言える。受け入れ側の教育担当者の同会への希望でも「日本語学習プログラムの作成・相談」が多数上がっていた。

現地の有資格者で、今年2月に初受験した看護師候補者は「問題を全く読めなかったことがショックだった」と回答を寄せた。「研修・教育をすべて施設側に任せっきりであることが問題。合格は不可能」と指摘したのは調査にあたった日本国際協力センター日本語講師の本多敏子さん。

国家試験問題の読解に必要な日本語検定2級レベルの習得には、漢字圏の人でも1日4時間、1年間の学習が必要といい、そもそも3〜4年間の期限付き、働きながらでの勉強は難しいと言える。

看護師候補者にとっては、「仕事内容の違い」も深刻だった。インドネシアでは、看護師が清拭やおむつ交換などの療養上の世話は行わない。「試験に合格しても、おむつ交換の仕事が続くと思うとモチベーションが下がる」「自尊心が傷ついた」「看護助手なのに、名札と扱いはケアワーカー。給与も契約通りになっていない。帰りたくなった」などの声も少なくない。

「このままの制度では、候補者にとっても、受け入れ機関にとってもムリがある」 (宮崎さん)

ボランティアで参加する医療・介護・福祉の関係者、インドネシア研究者などとともに、70人余りの候補者も同会のネットワークに参加。制度の改善を訴えていく考えだ。

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[とれんど]外国人介護士は増えない/論説委員・保高芳昭(2009/06/20 東京読売新聞 夕刊 2ページ)

〈昭和22年に制定された児童福祉法は、保護の国家責任と自立助長を初めて明文化した〉。これは正しい? それとも誤り? 答えは×。明文化はされていない。

介護福祉士試験に出た問題の一例である。専門用語が次々と登場するため、日本人でも難解で、2人に1人しか合格しない。看護師試験も言うまでもなく難しい

「日本人でも」と書いたのは、この試験をいずれ、インドネシアやフィリピンから介護士や看護師をめざして来日中の人たちが受験するからだ。もちろん試験は日本語で、漢字にふりがなは無い。

介護福祉士候補者は4年、看護師候補者は3年のうちに国家試験に合格しなければならない。この間、日本の介護施設や病院で助手として働きながら、日本語を身に着け、試験勉強を積む。

さて、数年後、介護士や看護師となって日本で働き続けている人がどれだけいるだろう。

ほとんど皆無ではないか。

いや、合格できる人がいないというつもりはない。特に、来日した第1期生は意欲も能力も高いから、漢字も専門用語もものにして難関を突破する人は少なくないかもしれない。しかし――。

あの問題を読みこなし、正解できる外国人なら、超一流の通訳として引く手あまたになると思うのだ。もちろん相当な報酬で。

合格できない場合は帰国させられ、合格できる人はおそらく別の道に進む。結局、介護士も看護師も生まれない――と予想する。

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アロヨ・フィリピン大統領/看護師候補を激励(2009/06/21 毎日新聞 朝刊 26ページ)

来日中のアロヨ・フィリピン大統領は20日、日本とフィリピンとの経済連携協定(EPA)に基づき5月に来日したフィリピン人看護師候補者36人が研修中の海外技術者研修協会東京研修センター(東京都足立区)を訪問した。

大統領は、授業を参観したあと、候補者たちと懇談。「おはようございます」と日本語で出迎えた候補者たちに、タガログ語で「どこに配属されるのですか」などと話しかけた。候補者のミルドレド・カラアンさん(37)は「全力を尽くして」と激励されたという。

EPAで来日したフィリピン人は283人(看護師候補者93人、介護福祉士候補者190人)。このうち日本語研修を免除された10人を除く273人は全国5カ所での半年間の日本語研修のあと病院や介護施設で働くことになっている。

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(情報フラッシュ)フィリピンに日本語学校を/来日中のアロヨ大統領訴え(2009/06/19 朝日新聞 朝刊 10ページ)

「日本語学校をフィリピンに設立して欲しい」。来日中のアロヨ大統領(62)は18日、都内での講演で集まった経営者らに訴えかけた。経済連携協定(EPA)に基づき、5月に来日した看護師候補らは派遣枠割れ。その一因は言葉の壁だ。「フィリピンの労働者は勤勉で訓練しやすい。日本での語学習得期間の短縮にもなる」と、派遣拡大への投資を求めた。

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